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最近の傾向

ここ数年のブームで「手作り石けん」は今やスロー&エコライフの定番。石けんは単に「汚れを落とすもの」から、スキンケアや環境問題に深く関わるいちばん身近なアイテムとして注目されています。アトピーや肌荒れの原因となる合成添加物がなく、原料や製法にもこだわって作られた石けんは、に優しいのはもちろん、水質環境にもやさしいのは言うまでもありません。食の安全性が見直されているのと同じように、石けんは洗浄力よりも安全性が大きく問われる時代になりました。

選び方のポイント

今はネット上でも沢山の「手作り石けん」ショップがありますし、昔ながらの製法を守った国内外メーカーの石けんも簡単に手に入れられるようになりました。浴用、洗顔用、台所用、洗濯用、アロマ効果やスキンケア効果を謳うものなど、これだけ種類や数が増えると、どの石けんを選んだらよいのか迷ってしまうかもしれません。もちろん直接肌に使うものですから、特に敏感肌の方はサンプルを貰って実際に使ってみるのが一番ですが、ある程度の情報から「本当に良い石けん」を見分けることもできます。肌や衣類や環境に負担をかけずにきちんと汚れを落とし、しかも安全性も高い石けんを上手に選びましょう。

まず食品と同じように、石けんの成分表に注目してみましょう。台所用や洗濯用には「石けん」「合成洗剤」の二種類の区別が書かれているので一目瞭然です。体用の石けんは「化粧品」「医薬部外品」となりこの区別はありませんが、着色料、パラベン、安息香酸、ジブチルヒドロキシトルエン・・などとアレルギーの原因になる指定成分が書かれているものは、たとえ「植物油」が原料でも合成洗剤ということになります。白い固形だからといって、または「石けん」と名前が付いていたとしても、すべてが「本当の石けん」だというわけではありませんのでご注意を。ですから「自然派」とか「植物性」といった肌や地球にやさしそうなコピーが付いていても、まずは成分表をチェックしてみる必要があります。

そもそも「石けん(純石けん)」とは何でしょう?それは動物や植物の油に苛性ソーダ(強アルカリ)を加え、熱を加えてできた脂肪酸ナトリウム(または脂肪酸カリウム)のことを差しています。固形か液体かはまったく関係ありません。(固形=石けん、液体=合成洗剤と思われていた方も多いのではないでしょうか?)

これもよく誤解されることですが、最近よく耳にする「界面活性剤」も、すべてが害のある添加物という意味ではありません。本来は水と油(汚れ)を混ぜる働きをもつ物質すべてに対して使われる名称です。つまり石けんも合成洗剤も、どちらも「界面活性剤」なのです。ただし石けんは水に溶けると分解されますが、合成洗剤に使われる化学的に作られた「合成界面活性剤」はそのまま水に残ることが多いのです。これは肌に害があるだけでなく、水中の微生物が分解できずに水質汚染の原因にもなります。生活排水が水を汚す最大原因となってしまったいま、自然に分解されにくい合成界面活性剤が入った洗浄剤を使わないことは、環境への配慮につながります。また最近では石けん同等の生分解率をもった合成洗剤も開発されていますが、まだまだこれは少数派です。

また「無添加」「純石けん」と書かれたものが、すべて肌にやさしい石けんというわけでもありません(地球にはやさしいですが)。成分表の石けん純度(石けん素地のパーセント)が高いものは、洗浄力が高いゆえに肌の潤いを取りすぎてしまうこともあります。石鹸作りにとっては不純物と考えられる油に含まれた「グリセリン」も肌の潤いにとっては必要なものなのです。石けんを選ぶ際には純度(けん化率)だけでなく、原料に使われている油の性質や品質にも気をつけてみるとよいでしょう。そして用途や肌の状態に合わせて、石けんを上手に使いわけてみることが大切です。

そうは言っても「純石けん」であれば、それひとつでお風呂からキッチンから洗濯から、本来すべての用途に使うことができるのです。その昔、石けんが飲み薬にされたり、ネズミにかじられた時代があったということは、もともと口に入れても大丈夫なものだということです。では合成洗剤は口に入れるとどうなるでしょうか?皮膚から添加物が浸透することもあるのですから、肌に直接使う石けんの安全性が大切だということはおわかり頂けると思います。

洗濯用品について

石けんが環境にやさしいのは確かですが、使いすぎると微生物が分解しきれずに、こちらも水を汚す原因となってしまいます。少量の石けんや水でもきちんと汚れが落ちるような洗濯用品を選んでみましょう。たとえば小さな洗濯板。水やお湯だけでも汚れを落としてくれる「ちょこっと洗い」の優れものです。

その他の注意点

手作り石鹸は自分の好みや肌質に合った良質の石鹸を作ることができ、また原料を吟味できる安全性から今後ますます人気が高くなっていくことでしょう。ただし苛性ソーダは劇薬扱いですから、ご自分で石けんを作られる方は必ず使用上の注意を守ってください。
また最近では洗濯用石けんなどに「複合石けん」と表示されているものがあります。これは石けん素地と合成界面活性剤の両方が使われたもので、合成成分が添加されていますのでご注意ください。
最近は石けんのほかに、食品としても使われている「重曹」が安全な洗剤として注目されています。石けんと併用して上手に使うと効果的です。

合成洗剤については、食器用洗剤ページをご参照ください。

(以上:ササマユウコ)