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環境に悪いリサイクル?

 

リサイクルで環境破壊?
リサイクル リサイクルとは、モノを捨てるのではなく、分別して収集し再利用することである。近年、環境問題の激化とともに、環境保護の見地から、そして、有限な資源の有効利用のため、リサイクル推進の掛け声が一段と大きくなってきた。それを後押しするかのように、各自治体もそれぞれの取り組みを見せ、環境省も推進の施策を講じている。
しかし、このリサイクルが環境を破壊する。そのような主張をする人もいる。例えば、武田邦彦氏(名古屋大学教授)である。 いったい、そんなことがあるのだろうか?
ペットボトルのリサイクルは、コスト・エネルギーの無駄使い
そのよい一例が、ペットボトルのリサイクルだ。ペットボトルはポリエステルで作られるが、この新品を石油から作って消費者の手元に届けるまでには、石油が約40g使われる。しかし、これをリサイクルしようとすると、少なくとも150gの石油を消費してしまうという。実に、4倍近くも石油を使うのである。 これでは、資源の節約どころか資源の浪費である。リサイクルを行うことによって資源がかえって多く使われてしまうということだ。
リサイクル資源浪費のメカニズム
ペットボトルのリサイクルは、次のような工程をたどる。まず、リサイクルに出されたペットボトルがスーパーなどに集荷され、トラックで再生工場に運ばれる。しかし、ここに運び込まれたペットボトルはすぐに再生に回せるようなきれいなものとは限らない、タバコの吸殻が入っていたり、ごみが入っていたりさまざまである。特にホッチッキスの針などが混入していると、再生ボトルにとって命取りだ。他にも、取り出しにくいごみが入っていたりする。
つまり、事実上、使い終わったペットボトルはペットボトルとしての再生が難しいということだ。そこで、仕方なく、他の用途に回されることになる。ただし、再生原料というのはどうしても品質が悪いため、長繊維にはなりにくく、防寒服の素材としてなど、その用途も限られてくる。しかも、それは、製品として人気がない。
ここまで見ると、多くの人の善意と環境保護意識に根ざして行われるリサイクルが、一転して、非合理で非効率な営みに思えてくる。
ペットボトル入りの緑茶を150円くらいで買うとすると、そのうち、お茶そのものとペットボトルの価格がそれぞれ10円くらいを占めている。後の大部分は、輸送費などその他のコストと企業の利益に当たる。要するに、ペットボトルの品を求めたとき消費者が支払う値段の中のほんの一部を占めるペットボトルをリサイクルしようとすれば、皮肉にも、資源とコストの浪費を増幅させてしまうということなのだ。
ペットボトルだけではない!

ペットボトル・リサイクルの矛盾を説いた武田邦彦氏の他にも、早くからリサイクルの盲点を指摘してきた人がいる。槌田敦氏(名城大学教授)である。
牛乳パックを例にとって、このような問題提起をしている。牛乳パックをリサイクルして再利用がパルプ節約になり、森林資源保護につながるからというのがこのリサイクルの動機であろう。しかし、それは認識の基本的な誤りであるというのが、槌田氏の主張なのである。
牛乳パックをリサイクルして、仮にトイレットペーパーを作るとする。すると、これまた、トイレットペーパーを新しく作るよりも高くなってしまう。市民グループから引き取った牛乳パックが、それを原料にトイレットペーパーを作る工場に山積みにされていたという光景が見られた。それは、こうして作るトイレットペーパーが売れないからだ。

 善意の活動が既存のリサイクルの仕組みを破壊
それを尻目に、“リサイクル運動”はますます過熱する。学校で牛乳パックの一斉回収を行えば、子どもたちはこぞってパックを持ってくる。それが高じて、親たちも一つでも多くとばかりわが子に持たせるため、飲みたくない牛乳まで買う。そんな笑い話めいたエピソードまで現出したようだ。
これでは、やはり、資源の節約どころか、それを目指す“リサイクル運動”が図らずも資源の浪費、つまり、不要なまでの消費をあおっていることになる。
こうした市民的レベルでの回収運動が、もう一つの弊害を心ならずも生んでしまうという点も見逃せない。それは、民間の回収業者を圧迫し、やがて駆逐してしまうということだ。営利で行っている業界に、損得抜きの人たちが参入してきたら、それは当然の帰結であろう。かくて、古紙回収業者は廃業し、次第に姿を消していく。
それがどういう結果を招くか。これまでにせっかくあったリサイクルの仕組みすらを壊してしまうということである。それも現に、あちこちで起きているという。
■ 高くつくリサイクル品

槌田氏はリサイクルは産業として成立するものではないと言う。
牛乳パックから再生のトイレットペーパーを作る業者が、リサイクル運動に協力する地方自治体に営業をかけたという記事も新聞に出た。そういうものがよそでは売れないからに他ならない。パルプ原料から作られたトイレットペーパーはおろか、他の古紙から再生されたものよりも、パックからの再生品は高くつくのだ。そういうものを求める人がいないのは当然だろう。従来古紙100%のトイレットペーパーを使ってきた自治体としては、これにはいささか頭を抱えた様子だ。
パックからの再生品がパルプ原料の新品に取って代わる状況には程遠く、それよりも起こるとすれば、これと他の古紙からの再生品の競合だろう。すると、他のリサイクル品を圧迫する。これでは、何のための牛乳パック・リサイクルかわからなくなる。

正しい目的には、正しい手段を
パックからの再生が、なぜ高コストになるのか。それは、この再生に手がかかり、効率があまりに悪いからである。牛乳パックは良質なパルプから作られるものだが、両側にポリエチレンフィルムが貼られラミネートされている。再生する際にこれをはがすには、大変な手間がかかるのだ。 そして、このようなものをリサイクルしようとする試みは、本来の目的とは逆行して、ますます資源とエネルギーを浪費し、コストを吊り上げる結果にしかならない。 こういう、“一般常識”を覆すような論もますます飛び出しそうなのがリサイクルにまつわる問題、そして、環境問題だ。昨日の常識は、今日の非常識になるかもしれない。いよいよ論議の行方を注視して行こう。
問題は、手段・方法だ
ペットボトルといい、牛乳パックといい、そのリサイクルには大きな問題があることがわかった。リサイクルに適さないものをやみくもにリサイクルしようとすることは、かえってリサイクルの目的を見失わせ、目標達成どころか、負の結果をもたらしてしまう。
確かに、今各地で励行されるリサイクル運動は多くの人々の善意に発するものであり、環境問題への意識高揚の表われだろう。だとするなら、これは貴重なものである。ただ、問題はその方向性、手段である。誤った手段の選択をすれば、せっかくの努力も水の泡になりかねない。それでは、あまりに惜しい。
リサイクルのコストについての考え方

リサイクルとコストは比例するという考え方があるが、それについて国連大学副学長の安井至氏は次のような考え方を示す。
「コストと環境負荷は、確かに比例する部分がある。環境負荷は、エネルギー消費量や資源消費量、輸送距離の増大などに応じて増え、どれもコストを押し上げる。だからコストが高いほど環境負荷が大きいこともあろう。しかし、ほんとうに正比例するかどうかは、個別に検証する必要がある」(安井至『リサイクル』日本評論社)。
ここで問題になるのは、人件費だ。つまり、リサイクル作業に従事する人たちには報酬が払われる。それが製品コストに跳ね返ることは確かだ。そして、彼らはその報酬でさまざまな活動をし、環境に負荷を及ぼす。ただし、その負荷は、製品に関係のない場所でも生まれるというのだ。
仕事をしようがしまいが、生きている作業者は食事、排泄、その他生きるための営みを当然続ける。そして、それらが生み出す環境負荷と、通勤・出張、仕事後のシャワーなど、仕事が生み出す環境負荷は分けて考えるべきで、リサイクルで問題となるのは仕事が生み出す環境負荷だけなのではないかということだ。
議論がだんだん専門化してくると、一般市民には手におえなくなってくるきらいもあるが、しかし、リサイクルはただ環境に悪いだけなのか? という問いかけと受け止めればよいだろう。これは、一例だ。

常に変化する環境問題

リサイクル環境に良いか悪いかの判断は、前提条件としてどのような仮定をするかで結果が大幅に異なるため研究者の間でも見解が異なることがある。リサイクルなど環境に関する技術は常に進化し続けているためいままで不効率で、環境に悪いとされたものが、いつの間にか環境に良いものになっている可能性がある。 したがって地球環境の保護を理念として出発するリサイクル運動は精神論に陥ることなく、あくまで客観的に、合理的に、そして、絶えず状況の変化を見据えながらこれを進めていく姿勢が重要なのである。そうでないと、目的地とは正反対の方角に行き着いてしまうことになりかねない。

参考文献

武田邦彦『リサイクルしてはいけない』(青春出版社/2000)
武田邦彦『リサイクル幻想』(文藝春秋/2000)
環境省・編『循環型社会白書』(ぎょうせい/2005)
安井至『リサイクル』(日本評論社/2005)
渡辺正『これからの環境論』(日本評論社/2005)
槌田敦『環境保護運動はどこが間違っているのか』(宝島社/1999)


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