最近の傾向
睡眠の質を大きく左右する「枕」。最近では、より質の高い睡眠を目指した高額な枕が通販の世界でも大人気。また自分に合った高さや、好みの素材を選べる専門ショップも話題です。
「毎日使う健康器具」「癒しグッズ」として、ますます注目が集まっている枕。その状況に応えるように、低反発ウレタンや備長炭、アロマや指圧効果、頚椎保護、いびき防止、ボディピロー(抱き枕)、さらには究極のオーダーメイドまで、素材や形状に特色があり機能性に富んだ商品が次々登場しています。
良い枕とは
頭の形や寝相は人それぞれ。枕の素材や形状も様々。だからこそ「寝心地のよい枕」は理想です。そうは言っても「なかなか良い枕に出会えない」という方も多いのではないでしょうか。たとえ「安眠」「健康」効果が謳われていても、または良質で高価な素材でも、自分に合っていなければ良い枕ではありませんね。
自分の体型や体質、素材の特徴、敷き布団の硬さ等を総合的に判断して、自分に合った枕を知りましょう。特に慢性の肩こりや頭痛に悩んでいる方は、この機会に枕の選び方を見直してみてはいかがでしょうか。
選び方のポイント
「適切な高さ」「形状」「素材(硬さ・吸湿性・放熱性)」が大切なポイントです。選び方を間違えると、頭痛や肩こり、頚椎を傷める原因になりますのでご注意を。
■適切な高さ
理想的な寝姿は、もっともリラックスした姿勢で立ち、そのまま横になった状態と言われています。そしてこの姿勢で敷き布団に仰向けになると、布団と頭の間に隙間ができます(腰よりも頭が少し前にあるため)。枕の役割はこの隙間を埋めること。つまり「隙間の高さ=適切な枕の高さ」となります。当然、この隙間は人によって違いますが、おおむね2センチ~4センチにおさまるようです。ここで気をつけたいのは、頭をのせた状態の枕の高さだということです。また敷布団やベッドの沈み具合も当然高さに影響します。枕が高すぎると首や肩の凝り、低すぎると頭痛や顔のむくみの原因に。
さらに横を向いて寝た時に違和感がないことも大切。万一、高さが合わない場合は、中身を抜いて低くしたり、タオル等を巻いて高くする方法もあります。
■形状・硬さ
寝返りはうっ血を防ぐために必要な自然の動作。適度な硬さがあって頭が沈みすぎず、中身が偏りすぎず、寝返りしやすい枕を選びましょう。
■吸湿性・放熱性
快適な睡眠を得るには頭寒足熱が理想的。寝ている間の汗を吸い取り、通気性・放熱性がよいもので、頭部に熱がこもらないようにしましょう。
代表的な素材とお手入れ方法
どんな素材にも長所と短所があります。上記の条件と好みを照らし合わせながら、より自分に合った素材を選びましょう。またアレルギーやぜんそくの原因になりますので、きちんと手入れをして衛生的に使いましょう。
柔らかめ
素材 |
詳細 |
お手入れ |
羽毛 |
保湿性・吸湿性に優れ、また湿気を発散するので蒸れない。
ホコリがたまりやすく、使い始めに独特の匂いがすることも。最近は防ダニ、抗菌加工されたものも多く見かける。 |
週に一度 陰干し
軽く叩いて中身をほぐす |
低反発ウレタン |
クッション性に優れ、頭を乗せた時にしっとりとした弾力性とフィット感で人気。ただし値段や質にばらつきがあり、冬に硬くなってしまうものも。吸湿性・通気性が低い。 |
週に一度くらい陰干し |
ポリエステルわた |
天然素材のパンヤと違って、へたりにくい。わたぼこりも出にくく手洗いが出来るので衛生的。通気性は低い。 |
時々天日干し。洗濯可 |
キャメル |
ラクダの毛。ウールに比べ吸湿・放湿性と弾力性に優れているが通気性が低い。アトピーの方は合わない場合も。 |
週に一度くらい天日干し
軽く叩いて中身をほぐす |
硬め
素材 |
詳細 |
お手入れ |
そばがら |
吸湿性がとてもよく、蒸れない。抗菌・防ダニ加工
された衛生的な商品も。ただし長く使いすぎると殻が
割れ、特にぜんそくの方には不向き。 |
頻繁に天日干し |
パイプ・ビーンズ |
通気性がよく、ほこりや虫がつきにくい。安価で質が安定
している。ビーンズの方がソフトだが、全体的にゴツゴツした
当たりに違和感を持つ人も。衛生的なのでアレルギー体質の人には特におすすめ。 |
時々丸洗いをして干す |
ひのきチップ |
ひのきのアロマ効果で精神安定作用がある。また通気性
防虫効果もあり衛生的。ただし香りには寿命がある。そばがらと
混ぜて使われることが多い。 |
頻繁に天日干し |
※音・匂いなど・・・素材の好みや個人差がありますが、実際に枕を使って初めて気づくことが多いものです事前に素材の特徴を知っておきましょう。
※その他に備長炭、ウォーター、磁気、球状ウールなど、最近では様々な素材が開発されています。また複数の素材を混ぜて使うことも。
良い枕はどこにある?
通販で大人気のカタログハウス「メディカル枕」やアンニーク「マシュマロ枕」は返品可能。実際に自宅で寝心地を体感できることは、高額枕の購入方法として安心です。また返品出来ませんが「メディカル枕」と同じイタリア・ファベ社製でリーズナブルな「オルトペディコ枕」も人気。特に輸入物はショップにより価格差があるので、いろいろ比較してみましょう。一方、ロフテーの専門ショップなどは頚椎測定や好みの素材が選べ、より自分に合った枕を選ぶことが可能。ただしお店のベッドは自宅と同一条件ではありませんので、その点を考慮しましょう。
ピローケース(枕カバー)を上手に活用
最近はデザイン性も機能性も枕と同じく充実。カバーひとつで枕の表情や寝心地もぐっと変化します。もちろん枕あってのカバーですから、枕との相性が一番のポイントです。
■枕の形状との相性
最近は特色のある形状の枕も多く、専用の枕カバーを販売していることも珍しくありません。しかし伸縮性に富んだ生地(薄手ニットなど)であれば、ある程度の形に対応できます。また最近はマルチに対応できる特殊開発された伸縮性ガーゼなども見られます。
■枕の硬さとの相性
羽毛など柔らかい素材の枕には、伸縮性の少ない生地が枕の形が安定しやすく向いています。最近では乾きが早く丈夫で、使うほどに味わいが出るリネンも人気があります。
■枕の通気性との相性
通気性のよい素材の枕を使っていても、枕カバーに通気性がなければ効果がありません。反対に通気性の低い枕には、温度上昇を抑える機能カバーなどもあります。
※ 枕カバーは頭や顔の皮脂や汗がつきます。二枚以上は用意して清潔に保ちましょう。特にアトピーの方は防ダニ・カバーなどもおすすめ。季節によって通気性や肌触りの違う素材を選んで、より快適な睡眠環境を工夫してみましょう。
(以上:ササマユウコ)